緊張すると声がでなくなる、難発吃音の改善のプロセス

普段はちゃんと話せているのに、緊張すると言葉が出なくなる…

まずその難発性の吃音の「発生のメカニズム」を知らないことには、それを防ぎ、コントロールを取り戻すことはできません。

また、その声が出ないトラブルの原因が未知であればあるほど、不安と恐怖が大きくなってしまいます。

難発性吃音が引き起こるメカニズムを知ることで、自分の状態を客観的に認識する事が出来きます。

そして、良い状態へと変えて行くことに繫がるはずです。

(おすすめ記事:「名前が言えない」難発性吃音の脳のパターン化現象

喉に力が入り、第一声が出ないのは「バルサルバ反射」が原因

「うまく声が出せない」という状態は、ほとんどの方は、「反射的に喉が閉まってしまう」というバルサルバ反射が起こっている状態になっています。「難発性の吃音」という吃音で最も多い症状です。

バルサルバ反射とは、何かをきっかけに反射的に筋肉が硬直してしまうことです。

例えば、突然目の前に強盗が現れたとします。おそらく、あなたは恐怖で瞬間的に身体が固まってしまうことでしょう。

こういったように恐怖を体験した時などに瞬間的によく起こる反射です。

吃音者は緊張するとバルサルバ反射が起こるように脳がパターン化されています。

特に、電話や大勢の人前、上司のと会話など緊張からくるバルサルバ反射が起るケースが多いです

そうなると一言目が出ない…といった状態になってしまいます。

具体的にどういったメカニズムで引き起こるのか?

それを解説していきましょう。メカニズムが解れば、それを変えて行くことが可能になります。

(おすすめ記事:心因性による難発性吃音「3つの脳の秘密」

緊張すると声がうまく出せないメカニズム

吃音が発生するメカニズムはいくつかありますが、ここでは吃音者の中でも多い、緊張からくるパターンについての5ステップをお話します。

1・緊張を誘発する考え方の癖

喉が閉まる、筋肉が硬直するバルサルバ反射が起こりやすい状況は、主に不安が膨らんでいる時です。

人は不安が起こる根底には、それを不安だと想うその人なりの信念が存在します。

  • 人前で話す事は難しい
  • 自分はいつもこの状況で言葉が出なくなる
  • 私はこの単語を言うのが苦手だ
  • 上手く話せないことは恥ずかしい

などなど、人それぞれ今までの経験から自分の考え方は構築されています。

ただ、注意してほしいのは、考えは「自分の中の現実」であった決して客観的な真実ではありません。

あなたの信念とはあなたの経験からくる色眼鏡を通して作り出した、あなた独自のストーリーなのです。
不安という信念、そのようなネガティブなストーリーを持っている状態はバルサルバ反射が起こりやすい環境なのです。

対処法:不安、恐怖からくる緊張を変えて行くには

ここでのポイントは、
自分の「想像」の部分と「事実」をきちんと整理することです。
事実だと思われる部分と、自分の想像だと思われる部分(相手はこう思うだろうなど自分が妄想している部分)を分けて書いてみてください。

感情的な部分を覗いたら…と自分を分析することです。
実際に、「ある人に、バカにされるようなことを言われた」などあれば、
「その人は自分ことを、そう思っている」とうことは事実ですが、他の人たちも同じように吃音のことをバカにしているというのは、妄想になります。

どれが事実でどれが想像か、自分の頭の中をラベリングしていくという
エクササイズはとても役に立ちます。
事実の部分はも変えられませんが、想像の部分は、自分次第で取り替えられるということです。

(参考:自分自身の思い込みからくる不安を取り除く7つのチェックリスト

2・余計な緊張は理想とのギャップからくる緊張

自分は「人前で上手く話したい」という理想が高ければ高いほどそのギャップが生じ、ストレスが増え、体が硬くなります。

そういった心の状態がさらに、難発性の吃音が出る条件、つまりバルサルバ反射が出やすい状況を整えていると言えます。

ですので、案外、「吃音でも恥ずかしくないや」と開き直っている人は、吃音が悪化しにくい傾向にあります。

逆に、「なんでこんな言葉も出てこないんだ」と自己嫌悪に浸っている人は吃音がどんどん悪化していく傾向が強いのです。

一生懸命考えている人のほうがより吃音の呪縛に取り付かれるという悪いスパイラルに入ってしまいます。

対処法:結局どう思われたいの?

「良く思われたい」という気持ちは誰しも無くすことは出来ません。

覚えて欲しいことは、相手の印象が悪くなる一番の原因は「どもること」ではなく、

吃音が出た後の態度です。目をそらし顔をしかめ、気まずそうな態度をすることが、最も印象が悪くなります。

吃ってしまって上手く話せないとしても、笑顔で対応していれば相手の反応も変わることに気づくはずです。

「上手く話せなくても大した問題じゃない」という気持ちになれたとしたら、そういった心理状態自体が吃音の発生を減らすことに繋がります。

3・扁桃体のアラームが鳴り響く

恐怖が起こるシステムというのは、脳の扁桃体という部分大きく関わってきます。

本能、経験などから今の状況が危険だと瞬間的に察知したら、扁桃体の活性化します。するとストレスホルモンが分泌し、脳を駆け回ります。

そして恐怖という感情が生まれます。

不安やストレスの下では、扁桃体のアラームのボタンに手がかかっている状態なのです。恐怖を発動するボタンはいつ押されても不思議ではない状況です。

緊張で言葉が出にくくなっている人は、扁桃体が活性化している状態になっています。

対処法:扁桃体ではなく、前頭前野を使う

自分の恐怖ボタンが押される時はいつか?
その時はどんなストーリーを持ってしまっているのか?

そのことを考えましょう。そして、

そのストーリーは本当なのか?
変えることが出来ないのか?
もし、変えるとしたらどんな習慣をもてばそのストーリーは変えられるのか?
まず、変えるその一歩は何をしたらよいか?

これは答えは人それぞれ違います。時間を取って自分で思考してみましょう。

このように論理的に考えることは、前頭前野を活性化させます。前頭前野が活性化すれば自然と扁桃体の活性化が減少します。

(参考:朝礼の挨拶で言葉が出ないのはトカゲが原因

4・恐怖が引き金になり、喉が閉じてしまう。そして最初の言葉の母音がブロックされる。

バルサルバ反射が起こった時は、瞬間的に筋肉に力が入ります。

どこの部分に力が入るか…

それは吃音者でも人それぞれ違いますが、傾向的には、まずは瞬間的にお腹が力が入って、その筋肉の緊張が喉に上がってくる。というパターンが多いです。

私の場合で言いますと、吃音で困って時は、お腹からくるのと同時に、唇の筋肉が固まってしまい、喉もそれに釣られて固く閉ざされてしまうといった傾向がありました。

対処法:筋肉が緊張し、喉が閉じる現状をモニターする

自分はどの筋肉がまずは緊張し固くなり、喉に力が入り、閉じてしまうのか?そのパターンを把握しておくことが大事なことになります。

自分で筋肉の緊張パターンを知らないことには、難発性吃音が起こってしまった時、また起こりそうな時、どの筋肉の力を抜けばいいのか?

それを自分で認識することで変えいくことが可能になります。

5・失敗してさらに強いネガティブな信念が構築される。

1〜4つのステージを経て、吃音が発生し、人前で失敗をした時。その瞬間が一番危険な瞬間です。

それを恥ずかしい、情けないなど、否定的な感情を意味付けることでより強い、ネガティブな信念をコンクリートで塗り固めています。

対処法:減点方式ではなく、今からがスタート

失敗した=(イコール)今後も同じことを繰り返すという考えは真実ではありません。

それを糧に、何を変えて行けば変わることが出来るのか?
失敗はそれに向き合い、変化へのヒントを得る機会だと考えていきましょう。

「吃音という自分を絶対に受けいられない」という人は、1回でも失敗すると大げさに落ち込み、何度もそれを思い返し、
吃音を気にしすぎます。その結果、改善の足を引っ張ります。

逆に、吃音を受け入れている人、失敗したこと受け入れる覚悟を持っている人は、
「現在の状態から良くしていく」という思考の方向性を持っています。

前者は、吃音改善を行なっている中で、
たとえ、良くなっていても1回のミスで、過度にネガティブになってしまいます。
思考が完璧主義の減点方式なのです。

サイドブレーキをかけながら、アクセルを踏んでいるようなものなので、前に進まないのです。

吃音が改善しやすい人、「以前と比べて良くなっていているか?」という「全体の傾向」で判断します。
自分を採点する基準は全体のバランスを見た客観的な思考になります。

緊張からくる吃音のまとめ

自分が吃音が出るパターンを把握するということは、必ずあなたの吃音治療に役に立ちます。

自分の悪いパターンを認識して変える。そして自分の良い状態を自分で再現出来るようにしていく。

それが徐々に出来るようになれば、緊張状態もコントロール出来るようになってきます。

また、緊張からくる吃音は、心理状態だけではなく、話し方、体の使い方など身体的なトレーニングを平行して行うことが、根本的な吃音改善に繋がります。

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