吃音治療

吃音症の治療に、今話題の「マインドフルネス」が有効だという話

マインドフルネス

数年前からマインドフルネスが、吃音症を改善するのにとても効果があると言われ始めています。

私自身も誰かから「それって、吃音に効果がりますか?」
と聞かれれば、私の実体験の中や、多くの吃音者の相談を受けてきた経験から、「はい、あります」と答えるでしょう。

吃音症は精神状態によって強い影響を受けます。
「調子がいい」と思っている時は、上手く話せる日が続いたり、
逆に一回の失敗で落ち込み、悪い日が続いたりします。

予期不安、つまり「吃音が出たらどうしよう」という思いがあると
「認知のゆがみ」が発生し、より吃音が悪化します。
(*認知のゆがみ=起こっていることの解釈が歪むこと。)

それが、自分の思考の傾向が自分を苦しめている結果になります。

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吃音症を和らげる2つの効果性

マンンドフルネスはその「認知のゆがみ」、つまり思考の癖を治します。

別の言い方をするなら「思考の色眼鏡」を外し、心をニュートラルな状態に戻すのに役立ちます。

その結果、吃音者特有の予期不安がやわらぎ吃音が減ります。

不安や恐怖に対してだけではなく、根本的な改善にも効果を発揮します。

マインドフルネスによって、吃音が出る時に起こっている自分の体の反応を、詳細に認識できるようになります。

自分自身で吃音につながる反応を変えていくとで、反射的に吃音となる脳の回路を変え、
吃音そのものを変えていくことに繋がります。

 

吃音治療に効果が期待出来るマインドフルネスですが、注意してほしいのは
その本質を理解せずに、なんとなく行っても効果が発揮されないというケースの方が多いです。

それは、吃音者がマインドフルネスを取り組む上で、語弊が生じやすいという現状があります。

なぜ、間違えてしまうのか?その理由を知らないと、いくらマインドフルネスを頑張っても意味のないものとなる恐れがあります。

あなたも吃音者が押さえておくべきマインンドフルネスということをちゃんと理解し、今日から実践出来るように説明していきたいと思います。

今話題のマインドフルネスとは?

マインドフルネスは、現在アメリカでブームです。

書店に行けばマインドフルネス関連の書籍がどこの書店でも平済みされています。ひと昔前のアメリカのヨガブームみたいものでしょうか?

日本でもそのブームの波が来ているのでマインドフルネスという名前を聞いたことのある人は多いと思います。

マインンドフルネス自体は、新しい瞑想法ではなく、2500年前の歴史がある瞑想法です。仏教のヴァッサーナ瞑想法と同じものです。

日本におけるマインンドフルネスの解釈に微妙なズレ

ヴァッサーナ瞑想法は日本では「気づきの瞑想」と呼ばれています。

マインンドフルネスと言う言葉が広がる前に、日本でも一部には広まっていました。日本ではこれを、「気づき」(awareness)と解釈されています。

実際、ヴァッサーナ瞑想法におけるサティ(気づき)という概念にあたる日本語はないと言われています。

「気づき」ではどうもニュアンスが違うので、いまいち腑に落ちず、日本では瞑想法の中でもメジャーになれずにいたのだと思います。(気づきの瞑想と、ネーミング的にもインパクトがないことが原因に感じますが。)

マインドフルネス(mindfulness)という英単語は、「サティ」本来のニュアンスにぴったりな概念を持っています。

このように、実際は「マインドフル」にあたる日本語が存在しないと言われています。日本では言語として存在していない、ということは日本人の中では存在していない、言葉の定義ですので、掴み所がなく、それを理解する過程で語弊が生じやいすのです。

そういったことを含め、マインンドフルネス瞑想法を正しく、吃音者にとって効果的に実践するためには、まずは理解を深めるステップが不可欠だと感じています。

吃音治療に適応するためのマインドフルネスの本質

では、マインドフルネスとはどういう状態か?とい言うと、上で話したように、それにあたる日本語がないので、いくつかのニュアンスでお伝えすると、

「自分の心を今に集中し、客観的に観察すること」です。

そしてその結果、新しい思考が生まれることです。仏教用語で智慧と言われるものです。智慧とは物事をありのままに見つめ、そこから真理を得ることです。

心の色眼鏡を外し、本質を見抜くということを行うために、

  • 「意識を今この瞬間に集中する」
  • 「心を留めておく」
  • 「自分の意識を過去の振り返りや、未来の想像などではなく、今というこの時に、注目する」

こういったマインドフルな状態を保つことが必要となってきます。

どもりを解消するためのマインドフルネスの実践

瞑想の基本となるのが「呼吸に集中する」ことです。

呼吸以外でも、歩いている感覚や、食事を食べている時、舌に集中してゆっくり感じて食べるなど、集中の対象は多岐にわたるのですが、まずは、呼吸に集中することがベーッシクな方法になります。

また、吃音者にとってもまずは、呼吸に集中するということが最も改善に役立ちます。

ただ、補足をしておきますと、「今に集中すること」というニュアンスになってしまいますが、集中した結果の先にあるものが「マインドフルネス」という状態で、マインドフルネスという状態を保つために集中力が必要だと言われています。

「今に集中している」という状態の上位概念がマインドフルネスです。

仏教用語ではサティと呼ばれている状態で、日本語で説明するとニュアンスがちょっと違ってはきてしまいますが、「気づいている状態」ということです。

このままでは吃音者にとってわかりづらいと思います。

ですので、私が吃音者に対して行っている吃音改善のカリキュラムでもマインンドフルネスの概念はたくさん取り入れていますが、語弊が生じると思いましたので、マインンドフルネスという単語は使っておりません。

ではどのように取り入れ、吃音症の軽減に効果を発揮しているのか?それは次のような概念でマインンドフルネスを実践してもらっています。

  • 「吃音が出やすい状況での会話で使う筋肉を観察する」
  • 「自分と距離を置いた視点を持つ」
  • 「自分の体の使い方を認識する」
  • 「緊張した時は思考にフォーカスするのではなく、まず呼吸にフォーカスする」

これら、いくつかの項目にわけてマインンドフルネスから派生した概念を捉えてもらっています。

純粋なマインンドフルネス瞑想法を行っている人たちにとっては、その定義は限定しすぎでは?

とも思われるかもしれませんが、吃音者にとってのマインンドフルネスを活用し、効果を発揮するのにこの解釈がベターなものだと実感しています。

そして吃音者にとって大事なことは、過去の失敗を考えたり、未来の不安に怯えたりするのではなく、今、自分の呼吸や体の使い方を理解する、それを観察することが吃音者にとってのマインドフルネスだと思います。

「マインドフルネスと吃音」の著者、シルバーマン氏も下記のように言っています。

‘’My throat constricts, my heart rate increases and my muscles tense.” Through meditation and exercises such as this, we learn to watch how the mind and body react to stammering. By understanding our stammer we become aware of the physical behaviours we have developed that exacerbate it and are therefore able to begin changing them.’’ Mindfulness & Stuttering 著者: Ellen-Marie Silverman

 

自分の「喉の収縮、鼓動の増加、筋肉の緊張」これらは瞑想などを通じて、思考と体が吃音という反応となるのか観察し、そこから自分で学びを得ることができる。

どんな身体的な行動が吃音になる、そして悪化させるのか?自分で理解することができる。理解をすることで吃音を変え始めることができる。

そう発言しています。

 

観察し、認識すれば吃音症を減らすことが出来る

繰り返しになりますが、これは、私も毎年たくさんの吃音者の相談を受けている中で非常に重要だと実感している部分です。

吃音を変えるには、今の話し方、体の使い方、思考の癖などを自分で観察し、まずは「認識」をすることが、最初に大切なこととなります。

認識できないものは変えられません。

ですので、自分の吃音が出ている時の状況を自分自身で観察する必要があります。また、上手く話している状態を観察し、その違いを認識する必要があるのです。

ここは本当に吃音治療にとって重要なキーポイントです。

吃音症のためのマインドフルネス実践法

マインドフルネス瞑想法のやり方は非常にシンプルです。

この瞑想法で行うパターンは多様にありますが、まずは最も基本とされる自分の呼吸を観察するということから行うのがベストです。

一般的な話でも、まずは呼吸を対象にすることから始めるケースが多いですが、吃音者ならば特に呼吸から入ることをお勧めします。

なぜなら、難発性吃音の「言葉が詰まる」という状態が、まさに呼吸が喉でブロックされ肺から口へ空気が流れていない状態だからです。

吃音者は人によって様々な原因があり、それが引き金となってブロッキングが起こります。

どういう体の反応が起こる時、「呼吸の流れ」というものが妨げられるのか?その傾向を自分自身で認識することが、ブロッキングを乗り越えることに大切な要因となってきます。

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吃音者のマインンドフルネス呼吸法

それでは、マインドフルネスの呼吸法ですが、本当にシンプルです。

どれが正しいの?何秒くらい息を吐けばいいの?などあれこれ悩まず、自分にとって一番自然な呼吸をしてください。

マンンドフルネスでも教える人によって呼吸の仕方が違うことが多いです。

大事なことは呼吸法ではなく、呼吸を観察することです。ですので、手法に囚われないでください。

呼吸法は色々な種類があります。次の5ステップの呼吸法は1人の時に実践する呼吸法です。この目的は、自分を観察する習慣をつけるために行います。

吃音症のためのマインンドフルネス呼吸法の5ステップ

ここで話す呼吸の仕方は、口呼吸ではなく、吸うのも吐くのも「鼻呼吸」で行います。

step1・まずは、リラックス出来る態勢になりましょう。ソファーに座ってもいいですし、寝っ転がっても構いません。

step2・ソファーに座っているなら、自分のお尻の感覚を感じましょう。これは、普段意識していないと忘れている感覚をあえて感じてみることによって、意識を今、この瞬間に戻す役目を果たします。

ここでのポイントは普段、無意識の中の五感を意識の上に出すということで、今、この瞬間にフォーカスを始めるトリガー(引き金)となります。

step3・吸う、吐くということに意識を向けます。普段無意識で行っている呼吸を意識に上げるましょう。ポイントとしては吸う、吐くという動作を一連の流れとすることです。

吸う時と吐く時の間には、一瞬呼吸の流れが止まる瞬間があるのですが、ここを意識すると、意識している間は呼吸が止まってします。つまり、会話時においても自分の呼吸の一連の流れに間が出来ると、難発性の吃音者が悩むブロッキングという現象に繋がります。

Setp4・一連の流れとなった呼吸が鼻腔を通っていく触感を意識に上げましょう。
呼吸が流れる度に、空気があなたの鼻腔を撫でていく感覚があるはずです。普段感じていないこの感覚を感じましょう。ただ、この感覚に気づくということに集中するのです。

Setp5・このプラクティスを行っている間、色々なことを考えてしまいます。ただ、呼吸だけに集中するというのは本当に難しいです。心が今に集中できず思考していまうでしょう。雑念が起こったらただ、単純に呼吸に意識を戻します。

慣れてくるまでは、「意識がさまよう、そして、戻す」の繰り返しだと思います。呼吸に集中できなかったから失敗とか、そういったことではありません。

意識が逸れたらただシンプルに呼吸に意識を戻すその繰り返しになります。

慣れてきましたら、呼吸に意識を留めておける時間が自然と延びてくるはずです。
これらの5stepを日々行いましょう。

観察し、自分との距離が出来ればどもりを乗り越える智慧が湧く

吃音者がマインドフルネスを行う意味は、自分の身体の変化、心の変化、それらの部分的な微細な変化に気が付くスキルが高まります。

言葉が出ない状態と、上手く話せている状態、その時の違いを認識できることで、反応の修正、つまり吃音という状態を変えることが可能になります。

また、脳科学の側面から見ても前頭全野(人間の高度な思考の部分)を使い、観測することで、感情(原始的な脳)の部分を抑える働きがあることが解っています。

悪い感情が起こっても、自分の感情、身体の変化を観測するスキルを高めることで、感情を抑えることができるのです。

吃音以外でも同じです、例え「もうダメだ」と思うことも生きていれば何度もあるでしょう。

でも、それって10段階評価で行ったら何点か?とか、本当にもう取り返しのつかない問題なのか?問題などを細分化して考えたりしていけば、案外、「まあ絶望するほどではないな」と、冷静になってくるはずです。

冷静になれば、何を具体的に変えて行けば、今の状況よりもよくなるか?アイデアが生まれ行動がとれるようになります。

客観的な観察をせずに、感情だけにフォーカスすると感情はますます力を増します。少しの失敗が、取り返しのつかない失態のように「認知のゆがみ」を引き起こします。

マインドフルネスのように客観的な視点、観測が、自分を変える、そして吃音が出ている身体の反応を変えることへの最初のステップとなるでしょう。

まとめ・どもることを減らしていくために

吃音で悩んでいる方は、上記で話した5stepを日々実践してください。そして、会話の中で吃音が発生している時の身体の状態を細かく観測していきましょう。
自ら認識、知覚することで、どこをどう変えたら、言葉が上手くでるのか?それが体感として掴めてきます。

私が行っているカリキュラムで吃音を改善出来た人々が共通して言っていることはまさに、今日のテーマで話したことです。

「自分との距離が出来る」ということを実感出来る人ほど、流暢に話すことが出来るようになっている自分を実感すると言っています。

そのために大切なことが「自分自信を観察する」という練習です。

ぜひ、このスキルを伸ばしていき、色眼鏡を外した状態で、自分自身を見つめる能力を伸ばしてみてください。

あなたの自身の、「どもる」という状態に対する変化もその過程で実感出来るはずです。

(注意:マインドフルネスは吃音の心因性の部分を改善させるのに大きく貢献しますが、
身体的な要因を変えることも吃音にとって非常に大事になります。
なのでマインドフルネスだけを取り組むのではなく、多面的に改善させていきましょう。)

:参考記事
吃音を改善させるには心理的な面だけではなく、会話なども変える必要があります。下記の記事も合わせて読むと相乗効果を発揮できます。

吃音に影響する「話し方」についてお話しています。

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吃音のせいで周りからクスクス笑われ、馬鹿にされるはもう十分です。
言葉が上手く話せず、無能だと勘違いされる日々は終わりです。

とはいえ、吃音克服はほとんどの人にとって可能ですが、道のりは単純ではありません。

吃音改善は全体像やそのプロセスを知らずして取り組むことは、地図とコンパスを持たず登山するに等しい無謀な行為です。

下記の動画は、吃音克服への全体像とそのロードマップになります。

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